たした鍼灸治療院 院長の田下翔太です。今回は肩こりについてお話します。
肩こりでお困りの方はとても多いです。
30~40代の方の73.5%が肩こりでお悩みだという調査結果もあります。
参照サイト:薬事日報 『肩こり、腰痛は国民病』
肩こりになると、多くの人は「肩や首に問題がある」と考えがちです。
しかし実際は、『肩こりの本当の原因が、肩以外の部分にあるケース』が非常に多いのです。
例えば、
- スマホを長時間使い、目が疲れている。
- 仕事で責任のあるポジションに就き、気を配らなければいけないことが一気に増えた。
- 事情があり、家庭や職場で強いストレスがかかるようになった。
このような事柄がきっかけとなり、肩が張り、肩こりのつらさを感じはじめる――こういう患者さんが当院にはかなりたくさんいらっしゃいます。
当院にいらっしゃる方の肩こりの原因トップ3は、
- 脳に疲労が溜まっている(脳の使いすぎ)
- 背骨のゆがみ
- 深い悩みやストレス。自立神経の乱れ
この三つです。
今回は、最も多いケース(脳の疲労が原因の肩こり)の解消につながる、ちょっとした方法をご紹介します。簡単ですが、とても効果があります。
脳がひどく疲れる行動、環境
脳に疲労が溜まると、かなりの確率で肩こりが発生します。
(このあたりのメカニズムについては、別ページで詳しく紹介しています。興味がある方はこちらのページに記事があります)
脳が疲れて肩こりになっている場合、その疲れを減らすと、肩こりも楽になります。
脳を理想的な状態に保つことができれば、肩こりは自然と消えていきます。
以下のような状況で、脳は疲れます。
- 目を酷使する(パソコンやスマホの長時間利用)
- ハードワーク(仕事が多忙になる、処理しなければいけない作業が多すぎる)
- 運転やデスクワークなどの同じ姿勢を繰り返す(体にかかる負担が脳にも影響します)
少し複雑なので、『脳の疲れが原因で、肩こりが発生するまでの流れ』を一度整理しておきましょう。このような形になります。
スマホを長時間使う→目が疲れる→脳が疲れる→肩が張る→肩こり発生
実は当院の患者様の80パーセント以上は、こういう流れで肩こりが起きています。
右脳、左脳のバランスを取る
では、脳の疲れを取る、お勧めの方法を紹介します。ひとつ目は、『右脳と左脳のバランスを取る』方法です。
わたしたちの脳は、右脳と左脳に分かれています。それぞれの役割は、
- 右脳……発想・イメージ・芸術的な事柄
- 左脳……計算・記憶・会話など
と言われています。
右脳と左脳の、どちらか一方だけを使いすぎると、そちら側にだけ疲れが溜まります。
アンバランスな状態がつづくと、脳全体がひどく疲れてしまいます。
ちょっとイメージしてみてください。
車の右タイヤをググッと持ちあげて固定したら、左タイヤに大きな負担がかかりますよね。その状態で走ると、左のタイヤだけ消耗します。車本体にも当然負荷がかかります。骨組みがきしんだり、時にはパーツが損傷することもあるでしょう。こういう状況を防ぐために、左右のタイヤと車体の高さを整えて、水平の状態にする必要があります。
脳に対しても、ちょっとしたことでバランスを取るアプローチができます。
現代では、左脳(計算・記憶・会話などを担当)をよく使う人が圧倒的に多いです。
「自分もそうだな」と思われる場合は、以下のような行動が効果的です。
- 音楽を聴く(歌唱は左脳を使う場合もあるので除外します)
- 自然に触れる
- 動物と接する
こうやって右脳を刺激することで、右脳と左脳のバランスが取れます。
脳の乱れが改善して、肩こりの改善へとつながります。
計算や文章が苦手な方は、右脳をより多く使う傾向があります。
その様な方は、
- パズルや計算問題を解く
- 会話を楽しむ、読書、文章を考える
このような行動で左脳を刺激します。「どうも自分は感覚的なタイプだな」、「感情的な方かもな」と自覚されている方にも有効です。
もうひとつの『脳の疲れを取る、簡単で有効な方法』
もうひとつ、こだわっていただきたいのは『睡眠』です。
目から入ってくる情報量はとても多く、日中、わたしたちの脳はフル回転しています。この情報を遮断することで、脳を休ませることができます。
質の高い睡眠は、特に脳の回復を助けます。
入眠前のルーティーンを決めると良いです。(就寝の一時間前からは、電子機器を使ったり、興奮する様な行動は避けましょう)
なかなか眠れなくても、あせらないでください。目を閉じて、リラックスします。これだけでも脳の回復の、大きな助けになります。
また、15分程度の昼寝も効果的です。
『15分程度じゃたいして変わらない』と思われるかもしれませんが、短時間でも、脳にとっては貴重な休息時間です。
脳の疲れと睡眠の関係について、より詳しく知りたい方には以下の書籍をお勧めします。
『スッキリ!体と脳の疲れが消える本』